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心理学勉強用

【14】心理学研究法

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【14】心理学研究法

【1 実験的方法】

心理学ではしばしば、心理学的問いに答えを得るために実験を行う。
研究者は通常、ある特定の行動の原因に関して何らかの仮説を立てることから始める。
仮説とは、知識や経験に基づいた推測のようなものであり、行動の原因について、あるいはその行動に影響していると思われる要因についての推測を行う。

実験は、「独立変数」の「従属変数」への影響を知るため、因果関係的問いに答えを得るための有用な方法

◎独立変数…原因となるもの
◎従属変数…結果として得られるもの

例)モーツァルトの音楽には記憶力を高める効果があるという仮説
独立変数=モーツァルトの音楽
従属変数=記憶テストの得点

独立変数の操作的定義
◎操作的定義=独立変数を原因として働かせるために、実験者が何をしたのかを示すもの
実験について第三者が独立変数として何を指そうとしてしているのかが簡単に理解でき、また同じ独立変数を用いて実験ができるような定義を構築することが重要。
また、実験群の操作的定義と比較可能な、比較群の操作的定義も構築する必要がある。

例の場合
実験群の操作的定義
「被験者に1分間短文を読んで覚えてもらい、その間ずっと、モーツァルト作曲のK448をBGMとして聴かせ続ける」

比較群の操作的定義
「同じく1分間の学習時間中、ホワイトノイズを流し続ける」

この場合、独立変数はひとつ(音楽)だけで、独立変数に2つの群(モーツァルト群とホワイトノイズ群)があるのだと考える。

従属変数の操作的定義
従属変数は、独立変数の効果を示していると、合理的に推測できるような変数でなければならない。

例の場合
1分間学習したそれぞれの群について、短文の記憶テストを受けてもらい、両群の成績を比較するという方法がとられる。

グループの形成方法
ランダムに割り振る
最も単純な方法は、実験参加者を2つのグループにランダムに割り振るということ。
全ての参加者がどちらかのグループに等しい確率で割り振られることになり、統計的に両群は等しいはずである。

ランダムでない方法
だが、両群の等質性を確実にするため、ランダムでない方法で割り振る場合もある。
①参加者のある変数(記憶力)などを測定し、この変数に関して等しい者同士を両群に均等に割り振る。
②同一参加者を繰り返し測定する。この場合、実験の順番が重要な要因となってしまわないよう、順番を均等にすることも重要。
③双子や兄弟など、何らかの自然な関係をもった参加者同士を両群に割り振る。

複数独立変数実験
人間の行動にはたくさんの影響要因があるため、実世界の実情により近い実験を実現するには、独立変数は複数であるほうがふつうである。
独立変数が1つでも複数でも、各独立変数がどのように従属変数に影響するかを見出すことはできる。加えて複数独立変数実験ではそれぞれの独立変数がどのように従属変数に影響するかも知ることができる。
最も簡単な複数独立変数実験は、2つの独立変数・2つの水準からなっており、これを2×2要因計画と呼ぶ。


【2 実験計画の多様性】

年齢差を測定する方法
①縦断法
研究者は一群の参加者たちを、長期間にわたって調べ、その期間に繰り返し測定を行う。
同じ参加者を繰り返し測定するので、非ランダムグループを研究対象として採用している。

②横断法
縦断法は研究時間に長い年月が掛かり、参加者を追跡し続けなくてはならないのが困難。
こうした問題を緩和するために開発されたのが横断法で、異なる年齢群の参加者たちに対して、同じ、限られた期間に測定を行う。


【3 非実験的研究法】

①自然観察法
自然観察研究を行う目的
◎実験室内の人工的環境でなく、自然な状況の中で生じる行動を記述すること
◎そこに存在する変数および、それと行動との関係を記述すること
研究者が、観察している行動を妨害したり、その行動に関わらないことが重要
観察者が観察対象の行動に影響を与えてしまうかもしれないため

自然災害や事故・事件などに見舞われたときの人の反応に関心をもっているからといって、人工的に状況をつくることは倫理的に許されないため、自然に発生してしまった状況の下でのみ、データを集め観察を行える。

②ケース研究
1人あるいは複数の人の行動を、ある一定期間観察し記録する。
ケース研究には確立された指針がないので、用いられた方法、記録された行動、最終報告などはかなりばらついている。
仮説の作成と次の研究のアイディアを得るために、臨床的状況でケース研究を行う。
ケース研究の結果は興味深いものがもたらされるが、それらの結果は研究者が観察した対象にだけ当てはまる特殊なものであるかもしれないという可能性を心にとどめておく必要がある。

2人以上の観察者を用いることで、観察者間の一致の程度に関して数学的に決定することができる(観察者間信頼性)。この数値が高ければ観察者間の一致度が高い。
一致度に影響する要因として、観察者の疲れや倦怠などの身体的要因、感情的状態、行動の観察経験などがあるため、観察者たちに十分な休養を与え、自分の仕事に興味を持たせ、身体的情動的健康状態をしっかり保ち、研究について、同じ程度に十分な訓練や経験を持っていることを確実にしておくことが重要。

③遡及的研究
実験と似ているが、操作不可能な独立変数の効果を研究することを遡及的研究という。
(結果が先にあり、その原因との因果関係を調べる)

④質問紙と調査
研究用質問に回答してもらうために質問紙や調査を用いる場合、変数を直接操作しないので、非実験的研究になる。
質問紙や調査を用いての研究はたやすくみえるが、良い調査・良い質問紙の作成は簡単なことではない。

調査・質問紙の開発の重要なステップ
a)最適な質問形式を決定するための回答者との詳細な面接
b)開発した質問が妥当で高い信頼性をもつかどうか知るために、少人数の参加者に対する予備調査をする

データ収集の方法を決定
郵送・面接・電話・グループ面接など、データ収集法を決定する。
研究の実施、研究の質にも影響する重要な決定事項である。

質問の形式の決定
「はい・いいえ」形式、選択肢の強制選択方式、多肢選択式質問紙、リッカート式質問、自由回答式質問紙など、研究者が採用した質問形式が、集められたデータとその分析法に直接的に影響するのは明らか。

実際に項目を書き出す
項目は明確で、短く、具体的であり、なじみのある言葉づかいでなければならない。
対象者のレベルに合わせたものでなければならない。
人口統計学的データ(性別、年齢、学歴、家族構成、職業など)の中で、今回必要となるものが何かを決定する。

⑤インベントリーとテスト
学力テストや適性テスト、パーソナリティテストなど。
ほとんどの場合、既存のインベントリーやテストを用いるので、実際にそれを使用する前に、テストの中身をよく検討しておく必要がある。

検討すべき問い
◎テストの実施にどれくらいの時間がかかるか?
◎テストは集団で実施できるものか?
◎テスト実施の手続きは複雑か?
◎得点化や解釈には特別な訓練が必要か?

信頼性と妥当性
信頼性=テストを繰り返し実施した場合にその点数が同程度であれば信頼性が高い
妥当性=本来測定すべきものを正しく測定していれば妥当性が高い


【4 質的研究】

目下検討中の対象について、他の伝統的な形式の研究では表現できないような、豊かで詳細な説明を提供するのが質的研究。
特定の限定された変数だけに焦点を狭めるかわりに、現象全体を研究しようとする。

質的研究のルーツ
始まりは人類学で、未開文化におけるエスノグラフィ研究であった。
エスノグラフィの目的は、人々がその共同体内での常識に従って行動しているとしたら、そこに暮らす人々が何を知っていて、彼らの知識の何が、彼らにそのように振る舞わせたのかを記述することによって、人々の行動を説明すること。

質的研究の包括的な定義(ボグダンとテイラー)
状況と、その中にある個人とを全体的に捉えることを目指す。つまり、研究の対象者は、それが個人であれ組織であれ、孤立した変数や仮説に例えられるのではまく、全体の一部分として見られるべきである。

質的研究の方法
◎エスノグラフィ研究(上記の通り)

◎エスノメソトロジー
日常生活に焦点を当て、そこで通常当たり前と見なされている規範、理解および前提に注目する。
参加観察研究では、研究者が参加者の1人になる。そこでは研究者がその文化の自然な一部として受け入れられる必要があるので、それに多くの日数を要することもある。

◎語り研究
人が自分の生活を記述するのに用いるストーリーを集め解釈する。
語り分析→個人の会話の研究で、誰かが語ろうとして選んだ話題や語り方は、その人がどのように、ものを知覚しているかによって構成されていると考えている。

◎アクション・リサーチ
行動とその変化に関心を持ち、問題解決の実践的道具として研究を用いる。
目的は単に研究して理解することに留まらず、何かを批判しそれを変えることにある。

◎焦点グループ研究
同じ特性をもっていたり、ある経験を共有している集団が、司会者のもとに集まって、ある話題について討議する。そこでの討議から、その集団の人々の考え方とか、彼らがなぜそのようなやり方をとり、なぜそのように感じているのかについての情報を提供してくれる。

◎人工物分析
文字をもとにした素材(新聞、雑誌、本、ウェブ、メモ書き、会議録、年報など)の分析を行うことで、ある地域・ある時代の人々の共通した考え方や価値意識などを知ろうとする。
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