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心理学勉強用

【13】心理学的測定

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【13】心理学的測定

【1 心理測定が応用される場面】

心理測定とは
人間の個人的特徴を数量的に記述すること、および人間全般の行動がもつ共通的傾向や特徴などを数量的に記述することを目的とした技術
その背景には心理測定学がある(統計的方法を駆使してさまざまな方法を開発研究する学問)

◎産業
車やパソコンなどをつくる際に、乗り心地や使い勝手などといった、とらえどころのないものを、実際のものの中で実現するためには、乗り心地や使い勝手を実際に測定してみなければならない。
人にとって使いにくい機械は、様々な事故や失敗の原因をわざわざつくることになってしまうことになる。
◎教育
学校での生徒たちの学習の進捗度などを調べるのに、知能検査得点、学力検査得点、性格検査結果、興味検査結果、適性検査結果などといった客観的な数値による情報もきわめて重要。
◎マスメディア
テレビの視聴率や世論調査なども測定の一種である。世論の動向は選挙の際などに重要な情報になる。
◎医学
発達遅滞の見られる子どもの知能測定とか精神障がいを負っている患者の障がいの診断、脳損傷を負った患者の損傷部位の特定などは、機械だけでは行えず、心理測定の技術を利用する。


【2 心理測定の歴史】
心理現象というのは曖昧でとらえどころがないため、測定とは言っても、その過程に人間が介在してくると、物質を測るときに比べて問題は格段に複雑になってくる。
そこではものの測定法は使えないので、独自の測定法が開発されなければならなかった。

心理測定の二つの流れ
①物理量と心理量(感覚量)との定量的関係の法則を知ろうとする精神物理学の流れ
②差異心理学と呼ばれる、ある刺激に対する被験者の反応の違いを組織的に比較、分析することで、個人的特性の違いを数量的に比較可能な形にする。

閾値(J.ヘルバルト)
人間がそこに刺激があると関知できる最低の刺激量のこと
水の中に砂糖をごく少量入れても甘みは感じないが、少しずつ砂糖の量を増やしていけば、あるところで甘みを感じるようになる。その境目の砂糖の量が閾値となる。
さらに、個人差があったり、同じ人でも時によって少しずれるため、何度も繰り返して計測し、データを統計して閾値を定める。

弁別閾(E.ウェーバー)
刺激の大きさを変えたときに、その差が検出できる最小の差異のこと
実験の結果、40gの重さの弁別閾は1gで、80gの重さの弁別閾は2gであった。つまり、もとになる重さが異なると、弁別閾は変わるということを発見した。
この関係は重さだけでなくほとんどの感覚で成立することも分かった。
この関係をウェーバーの弟子のフェヒナーが定式化。

ウェーバー・フェヒナーの法則
S=a×logR+b
(S:刺激量 R:感覚量 a,b:感覚ごとに異なる定数)
物理量と心理量との関係は「感覚量を等差級数的に変化させようとすると、物理量は等比級数的に変化しなければならない」ことになる。


【3 官能検査】

官能検査とは
人の感覚を測定するもので、大正時代に日本酒の等級の鑑定を行うのに用いたのが始まり
一定の条件下で人間に特定の試料について感覚的判断を行ってもらい、その結果を統計的に処理する、精神物理学的測定法。

消費者の好みの動向も調べられるが、工業製品の品質管理にも生かされている。
車であれば、エンジン音の判断、シートの肌触り、外部塗装のざらつき感などの判断などは人間の感覚に頼って行われる。


【4 精神物理学的測定法】

精神物理学的測定法は、刺激閾、弁別閾、主観的等価点、刺激頂などを測定する方法として古くから用いられており、3つの方法が区別されている。

①調整法
3つの方法の中では最も簡便な方法。
2つの刺激を提示し、一方を標準刺激としたときに、他方の刺激をできるだけ標準刺激に近づけるよう、参加者が自分で刺激の大きさ・長さ・明るさ・色味などを調整する方法。
参加者は実験のやり方を全部知ることになるので予断を持ってしまい誤差が生じやすい。

②恒常法
最も厳密な方法と考えられている。
あらかじめ決められた数の刺激をランダムな順に実験者が提示し、参加者はそのひとつずつについて判断を行う。
検査に非常に長い時間を要し、面倒である。

③極限法
調整法と恒常法の中間的な性格を持つ測定法。
刺激の強度をあらかじめ一定の幅にした刺激を並べておき、刺激強度の弱いものから少しずつ強い刺激のものへと提示していったり、またはその逆を提示していったりといった手順をランダムな順に繰り返す。


【5 心理学的尺度構成法】

「おいしさ」や「美しさ」「快適さ」など、単純な刺激から生じる感覚ではなく、もとになっている物質量が何なのかさえはっきりしないものでも、その感覚の強さの物差しを作成することは可能。
こうした心理量の物差し(尺度)をつくることを尺度構成と呼ぶ。
フェヒナーは美しさや好き嫌いなどの心理料の物差しをつくる試みを行った(実験美学)。

尺度測定法の種類

①選択法
一群の同種類の対象を被験者に示して、その中から最も美しい・好ましいと感じられる選択してもらい、各刺激の評価の程度を決める方法

②分類法
ある事象について、快・不快、好む・好まないなどの判断を人々に求め、多数の人の傾向を調べる。二分法的に判断する場合は「諾否法」とも呼ぶ。

③価値段階法
両極を「快ー不快」「よいー悪い」などのようにあらかじめ定めた価値の段階について、被験者に判断を求める方法。「よい・ややよい・普通・やや悪い・悪い」だと5件法尺度。一般の質問紙調査でもよく見られる方法。

④一対比較法
数種類のなかから2つずつ取り出して、どちらが好ましいか全ての組合せについて判断する。一方に対して他方がどうかということだけを判断すればいいので、被験者は判断がしやすい。

⑤品等法
一群の対象を好ましい順に並べる方法。


【6 尺度の水準】

①名義尺度
男性:1、女性:2 のように性別などをカテゴリーを数値化(コード化)して分類・整理するための尺度。数値間の比較は等しいか異なるかでしかなく、順序も加減乗除もない。
学生番号、職業別コード、電話番号などがこれにあたる。

②順序尺度
順序づけを目的とする。数値は、等しいかどうか、順序による比較ができるが、加減などの演算は意味がない。
成績の順位や好き嫌いの順序などがこれにあたる。

③間隔尺度
任意の原点と単位をもつ尺度で、一定間隔に目盛られた尺度。
たとえば学力テストの得点などがこれにあたり、80点と90点の差は意味を持つ。
ただし、前回のテストと今回のテストでは問題が違うため意味を持たない。

④比率尺度・比例尺度
絶対0点を原点にもち、そこから一定の単位で目盛られた尺度。加減乗除の演算が可能。
年齢や収入などがこれにあたる。


【7 心理測定の長所と問題点】

心理測定のメリット
①再現性
測定によって客観性の高い表現が可能になる。一定の手続きを守る限り、条件に変化がなければ、誰がいつ測定しようと同様な数値が得られる。

②一義性
測定の結果の表現が一義的である。測定結果は数値で示されるので曖昧さがない。ただし数値で表現しても、解釈では意見が分かれることもある。

③操作性
測定結果の数値は数学のルールに従って操作(演算)ができる。それは言語を媒介とする処理にくらべて、能率的かつ正確である。

④比較性
測定結果を用いて事象を分類したり、関係の検討ができるなど、利用範囲が広い。

心理測定のデメリット
①測定の代表性の問題
質的な差異を全て量的差異に還元できるかは問題。測定によって数値化することで、事象の大切な部分を見落としてしまう可能性がある。

②一意性の問題
得られた結果が唯一であるかどうか不確定である。他に違う結果が得られる可能性があるかもしれない。

③過剰単純化の問題
数値化によって複雑な事象を単純化し過ぎてしまう可能性がある。

④過大一般化の問題
本来その測定が意図していた以上のものを過大評価していたり、適用範囲以上のものに拡大解釈して応用してしまっている可能性がある。

⑤測定バイアスの問題
測定結果の解釈がゆがめられたり、偏った見方を提供しているかもしれない。
1950年代頃までは、知能のピークは20代から30代前半まででその後は低下すると考えられてきたが、その後結晶性知能と流動性知能に区別できることが発見され、年齢と共に低下するのは流動性知能だけであることが分かった。不充分な知識に基づく測定はこうした問題を招く。

⑥命名効果の問題
測定値は客観的に見えるので、不変的絶対的なものと見なされ、数値が独り歩きする危険性がある。たとえばA型の人であると分かったとたんに行動をA型の類型に当てはめて見てしまうなど。
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