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心理学勉強用

【15】心理学の過去と短い歴史

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【15】心理学の過去と短い歴史

【1 心理学以前】

19世紀
人の頭の形や顔の特徴の違いは、その人の知能や人格などを決定すると信じられていた

骨相学(E.ガル)
脳の異なる領野は、それぞれ異なる行動や知的機能と関連していて、それぞれ異なる率で成長し、頭蓋骨に隆起や凹みをつくると考えた。
頭骨を測定することで個人の能力や性癖を測定できると推測
例えば額の上部が大きく発達している人は非常に親切など

観相学(J.ラバター)
性格学とも呼ばれ、顔の特徴によって、その人の性格、知能および能力を評価しようとするもの。
目、鼻、顎、額が性格の主要な指標として強調された。
また、犯人の特定や人種的・民族的ステレオタイプ、雇用者の選別にも大いに使われた。

骨相学も観相学も、その妥当性は疑われるようになっている。


メスメリズム(E.A.メスメル)
患者の身体的、心的病の治療の手段として、手に磁石を握り、それを患者の体の上で動かすと、患者は軽い安らぎ感を経験し、その後問題の症状が軽減あるいは消失することを発見。
その後、磁石なしで患者の体に手をかざすだけでも同様の効果が得られることに気付き、それを動物磁気と呼んだ。
他の施術者もこの方法を用いるようになって、メスメリズムと呼ばれるようになり、体だけでなく、抑うつや恐怖症の治療、自己改善の助けともなった。
現代の催眠術の先駆となるものと考えられる。

神経生理学的発見
骨髄内の神経束のうち、背部側の神経は感覚情報を伝え、腹部側神経が運動情報を伝えるよう配置されていること、感覚神経はたった1種類の情報だけしか伝えないこと(視神経は視覚情報のみ、聴覚神経は音情報のみ)など。

神経伝達速度の発見(H.F.ヘルムホルツ)
切断されたカエルの足を使って、神経伝達速度を調べ、その速度が秒速約90フィート(約2748cm)であることを発見。

物理的世界と心理的世界の比較(G.フェヒナー)
1850年に物理的世界と心理的世界の間の関係は、測定することが可能であることに気付いた。心理的世界と物理的世界は同じではなく、一対一の対応もしていない。
1kgのスポンジと1kgの鉄は物理的には同じ重さでも、手のひらにのせた時の感じ方はスポンジの方が軽く感じる。


【2 心理学の創始者 W.ヴント】

ヴントは、フェヒナーに強く影響されていた。
1874年に最初の教科書「整理心理学原理」を出版
1879年、ライブヒッチ大学内に、世界最初の心理学実験室をつくった。
これが心理学の誕生といわれる。

ヴントの実験室における研究の多くは、感覚と知覚に関するもの
1881年に科学的心理学の最初の研究雑誌「哲学研究」の公刊を始めた。

心理事象の所要時間を研究する基礎として、ヘルムホルツの神経伝達速度の研究を引用し、ドンダースによって始められた反応時間測定という方法を用いた。
単純反応時間と選択反応時間の相違を測定し、選択反応時間が長くなるのは、心的過程の存在を示していると考え、課題を複雑にすることによって、思考の速度を測定できると考えた。

ヴントの心理学の目的
意識を理解することであり、意識とは、人が意識している全てのことの総和と考えられた。
意識は世界についてのその人の経験を通して形づくられるものである。
これらの経験は、感覚、連合(学習)および感情の組み合わせであり、意識の要素。
要素の組み合わされ方(心的複合体)を発見するために、それらの要素を研究することを提案した。


【3 E.B.ティチナーの構成主義】

構成主義
成人の意識の基本構造を、正確な機械と、体系的実験的内観と名付けた自己報告手続きを用いて実験室内で研究するもの
実験室での実験に参加し、その後その経験の中に含まれていた心的過程について詳細に言語記述する。内観報告者は高度に訓練され、一種の内観機械になることを求められていた。

研究の目的
人の意識経験を、その基本的な構成要素に分析すること
基本的要素は、感覚・イメージ・快不快の感情状態からなると結論づけた。

学問体系としての構成主義は、ティチナーを超えて存続せず、今日、その妥当性を示すものは何もない。


【4 W.ジェームズ】

機能主義
ダーウィンの進化論と強いつながりをもっており、アメリカ心理学では広く浸透した考え方。
心理学の目標は、人の意識的経験が人の環境への適応にどのように働き、その結果、環境の中での人の繁栄へとどうつながるのかを理解することであるべきという考え。

構成主義が「心とは何か」に関心を持っていたのに対して、機能主義は「心は何のためにあるのか」を知ろうとするもの。
構成主義は子ども研究を範囲外としていたが、機能主義では、子どもの適応能力がいかに発達していくのかを知るために、子どもにも感心を抱いていた。

ジェームズの「意識」
意識を水の流れの比喩として考えられるべきものであると論じた。
意識は連続的に動いているものであり、常に同じでないものと考えた。
人の意識が、世界に対して人がうまく働けるよう助けているものであると考える見方を強調。

人の意識の中心的な機能は、環境の中に見出される新しい課題に人が素早く適応できるようにすること、新しい事柄を素早く学習できるようにすること、うまく問題を解決できるようにすることであり、習慣もまた重要で、関連した機能である。習慣はほとんど意識的思考なしに多少とも自動的に発生するので、意識がほかの重要な事柄に集中していても行動することができると考えられる。


【5 ゲシュタルト心理学】

構成主義に対する反論として誕生したもの
心理現象を理解しようとするとき、それを構成要素に分解しようとするのは間違いであり、現象の全体は常に、個々の要素の合計より以上のものであると主張。
音楽は音譜の連なりでつくられているが、歌は、そのときの個々の音譜の合計以上のものである。もし違う調で歌われたら全ての音譜は変わるが歌のメロディそのものはその固有性を保持している。

ゲシュタルト心理学の創設者
ドイツのM.ウェルトハイマーの仮現運動実験がゲシュタルト学派の出発点と考えられている。
仮現運動とは、暗室で横に並んだ2つの光を交互に点灯させると、知覚されるのは2つの光ではなく1つの光が横方向で連続的に動く様子。
この2つの光の中間には感覚要素が存在しないので、それを感覚要素に分解するのは不可能であると論じた。
全体は個々の部分の合計以上のものだと考えられる。

ゲシュタルト心理学は知覚と認知研究に重大な影響を与えた。


【6 行動主義】

J.Bワトソンが創設した行動主義はアメリカ独自の学派であり、他国での影響力はさほどでもない。
心理学が本当の科学になるためには客観的に測定できる現象が必要であると考えた。
内観は本質的に主観的であり、人の意識的経験は外部からは観察することができないが、行動なら客観的に観察することができる。

心理学が測定可能な行動の科学であるべきであり、心理学の目的は環境刺激とその結果としての反応の関係を理解することであると主張。

アルバート坊やの実験(1920年)
11か月の乳児アルバート坊やが、大きな音と対提示されたことで、無害なシロネズミを怖がるようになった。
この実験から人は「条件づけ履歴」を知ることで理解可能な存在であると主張。


B.F.スキナーの行動主義
実験的行動分析と名付け、パブロフ流や古典的条件づけと区別し、スキナーの主張する条件づけをオペラント条件づけと名付けた。


【7 認知心理学】

1930年から40年代、行動主義が幅をきかせていたが、50年代に入り、認知過程の研究が返り咲いた。60年代後半には認知過程の地位が復活し、これを「認知革命」と呼んでいる。
1970年代には、認知心理学は行動主義に取って代わっていった。

認知心理学再登場の背景
◎行動主義には言語などの認知的現象について説明する能力が欠けていた。
言語は人間を特徴付ける重要な要素であることを考えると、これを説明できないのは行動主義にとって大きな問題。
◎コンピュータ科学が急成長し、人の認知過程に重要な比喩を提供した。
コンピュータが環境から入力情報を受け取り、機械内部で処理・変換・出力しているのと同じように、人の脳も入力情報(感覚と知覚)を受け取り、情報を処理(理解・解釈)し、そして出力する(言語を発する・行動する)と考えられるようになった。

1980年代には学際的アプローチの成長を反映して、認知科学という言葉が出現。
認知心理学者は、コンピュータ科学者、科学哲学者、言語学者、人類学者などと共同するようになっていった。
21世紀に入ってからも、人工知能など、心理学における認知に対する関心は高いままである。


【8 臨床心理学】

現代の臨床心理学の発展の契機は、第二次世界大戦。
戦争がひどくなるにつれ、アメリカでは精神医学的問題を抱えた兵士の数が増加し、心理学者たちが医師の人手不足を埋めるようになり、終戦後まもなく、アメリカ政府は臨床心理学者の訓練プログラムへの基金提供を始めた。

臨床心理学は1950年代に急成長し、新しい治療法が開発された。
◎行動療法(行動主義の流れ)
条件付けで恐怖症の発生を説明できるなら、恐怖症を消去させることもできるだろうという考え

◎クライエント中心療法(人間性心理学の流れ)
人は自らの過去に縛られてはおらず、自分の潜在能力を認識できると論じ、クライエントの過去を詮索するのでなく、セラピストが安全で受容的で共感的な雰囲気をうまくつくることができれば、クライエントは自分の改善に責任をもてると考えた。
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