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心理学勉強用

【10】産業心理学

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【10】産業心理学

日本で初めて行われた産業心理学的研究
1920年代初期 倉敷の製糸工場で働く工員たちの労働改善を目指す研究
日本における産業心理学の出発点は、ヒューマニズムを基調とした、労働者の労働とその生活が可能な限り人間的であることを目指すという視点に貫かれたもの

アメリカの産業心理学的研究の始まり
20世紀初頭、ギルブレスの研究
レンガ積み職人として働く傍ら、最も効率的なレンガの積み方を開発。
効率的な働き方が経営者に都合がよいだけでなく、作業者にとっても作業負荷が減り疲労や怪我のリスクが軽減するという利点があると考えた。
ギルブレス夫妻の研究は、必ずしも産業心理学の先駆としては位置づけられていないものの、彼らが行った動作研究は、人の労働を客観的に捉える方法として優れていた。

動作研究…手の動作を17個の基本動作に分割し、それらをさまざまに組み合わせることにより観察対象の動作を表現したもの


【1 今日の産業心理学】

職務分析
その仕事にとって、適切な人材を採用するため、従業員の個々の能力を評価するため、従業員の訓練のために、仕事そのものの全体的な理解が欠かせない。

課題指向的アプローチ
仕事を形成している課題に焦点を当てて分析を行う
実行されている課題とそれをどのように行うかが中心となり、課題記述が作成され、それらの課題が、物品との接触、データとの接触、人との接触を必要とする程度にしたがってクラスター分けされる。

作業指向的アプローチ
人の特性に焦点を当てて分析を行う
それぞれの職務に必要とされる、作業者の知識、技能、能力、人としての属性などに焦点を当てる。


【2 職員の採用】

職務分析が行われれば、その結果をもとに、その職務に必要な能力や特性をもった人物を選抜できる。

応募者選抜用テスト
認知能力テスト、正直さテスト、面接、人格テスト、精神動作テスト、履歴データ、仕事見本法など。

◎履歴データ
趣味、嗜好および経験などの記入欄が設けてある。

◎仕事見本法
実際の職業行動を評価に利用
正確さ、スピード、その他の行動要素について得点化される。


【3 適性検査】

職業適性
職業的能力の資質の個人差
職業上必要とされる能力を習得できる可能性がどの程度であるかを示すもの→職業適性検査
ただし、職業適性は能力だけによって決まるものではなく、興味関心や価値観、性格などの方向性も非常に重要

特殊職業適性検査
限られた職種に対する能力的資質の程度を判定するもの
書記的適性検査、タイピスト適性検査、手技的適性検査、機械的適性検査、美術的適性検査、音楽的適性検査、プログラマー適性検査など

テストバッテリー(総合検査)
いくつかの職業適性検査を組み合わせていろいろな職業分野への能力的資質を判定

判定テストの先駆け
アメリカ労働省が開発した一般適性検査(GATB)
基本的に職務分析によって職務の特質を抽出し、それと人の適性との最適の組み合わせを探すことで、職業上の成功が得られるという観点から作成。
それによってそれぞれの職務分野でその人がそこで求められる能力基準を満たしているか否かを判定し、採用の合否に用いたり、進路指導の場で個人の適性に合致した職務分野を探すのに利用することが可能。
9種の適性能力を定め、それを客観的に測定するために11種のペーパーテストと4種の器具検査が考案されている。

9種の適性能力
①知的能力(G)②言語能力(V)③数理能力(N)④書記的知覚(Q)⑤指先の器用さ(F)⑥手腕の器用さ(M)⑦運動協応(K)⑧形態知覚(P)⑨空間判断力(S)

キャリアカウンセラー
人の特性と職業の特性の一致度が高いほうが職業的成功が図られやすいと考えられるため、自分と仕事の特性の両方を知るよう働きかける人。


【4 人事評価】

人事評価の方法
客観的な基準
数を数える(欠勤数、事故数、生産物数、時間あたりの売り上げ数)

主観的評価
業務の質を5件法尺度で評価するなど、いくつかの形式の評価尺度が含まれている。

行動重視型評価尺度
重要なポイントについて曖昧なラベル付けというよりは行動記述が利用される。

測定の誤差
主観的評価の頻繁な使用は誤差の問題を特に際立たせる。

◎ハロー効果
ある領域での以前の評価が他の領域での判断に影響してしまう
◎寛大さ
特定の従業員との人間関係や親しさが、その従業員の評価を肯定的な方向へと偏らせる
◎中心化傾向
極端な評価を回避する傾向

誤差を減少させるためには、評価者の訓練と、行動指標の信頼性の増加が必要。

360度評価(多面評価)
複数の業績次元について、仲間、上司および部下からの評価を取り入れ、より完全で偏りのない社員評価を行おうとするもの


【5 訓練】

従業員の訓練の目的
技能育成、変化する状況への適応、従業員の職業生活の質の改善など

訓練の種類
◎教室学習
教室での講義、討論、ケース研究およびロールプレイ
◎自律的学習
読書、ワークブック、およびプログラム学習
◎シミュレーショントレーニング
◎現代技術を利用した学習
遠隔学習、双方向メディアおよびインターネット学習

重要なのは、訓練目的に合致したプログラムの選択と、訓練の成果を最大にすること。

訓練可能性
従業員に求められる、知識、技能、能力その他の要因を、その訓練生が既にどの程度もっていて、それらの能力を今後どのくらい発達させられるか

学習に対するモチベーション
自己効力感(自分なら課題を行えるという自信)の高さ、自己解決型である程度、自分のキャリアに対する自我関与の強さが、モチベーションの強さと正の相関をもつ

訓練実施者のありかた
訓練がよく統合されていて、例を織り交ぜ、困難だが達成可能な目標を設定し、熱意を見せ、参加者を励ますことは、学校の教室と同様に訓練の場でも重要である

評価
ほとんどの企業訓練は評価されているものではあるが、しばしば評価は「参加者の訓練に対する反応」に焦点を当てている。

◎統括的評価
訓練の目的が達成されたかどうかに焦点を当てる(機械が使えるようになったかなど)

◎形成的評価
将来の訓練努力の中でどのような改善が見込めるかを見極め、その目的に添った訓練法や戦略が検討される


【6 労働災害】

働く人々の心身の健康を確保することも重要なテーマである。

労働事故の分類
①作業者、操作者など、人間によって引き起こされる「人的要因事故」
②機械・設備などが原因で起こる「機械的要因事故」
③環境等が原因となる「環境的要因事故」 など

機械・設備の性能向上や環境整備の充実などが原因で労働災害は減少しているが、人的要因事故の占める比率は高いままである。
機械性能の向上によって、機械の自動化、平易化、簡素化が進み、操作・運転に強い力や高い技能が要求されなくなってきた一方、機械の点検・チェックのほうは自動化が進んでいない。
機械の性能をいくら高めても、それを操作する人間側の不注意や訓練不足、疲労や心的ストレスなどが事故を引き起こす原因となっていることは少なくない。


【7 職場のメンタルヘルス】

働くことが健康を阻害する問題として、労働による過剰な負荷などによる心的健康の阻害がある。

労働負荷の度合いを知る手がかり→労働時間あるいは生活時間を把握
「社会的リズム」と「生物学的なリズム(サーカディアンリズム)」との同調の度合いなどを調べることで、労働負担の程度を知ることができる。
※社会的リズム…起床・食事・勤務・就床・睡眠など毎日認められる周期性

睡眠時間は休養のためにも生命維持のためにも重要であるが、近年睡眠時間は短縮する傾向にある。

職場で心的不調を抱えた人を、できるだけ早く発見し、治療に結びつけることは重要だが、不調の原因が仕事や職場にある場合には、その職場での仕事の性質、仕事のやり方を正確に把握することで、心的不調を起こさせた要因を発見することが重要。
職場の管理職者がどのような認識をもっているか、心的不調を当事者だけの問題としてでなく、職場全体の働き方の問題として捉える視点は重要である。
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