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【09】判断と意思決定の心理学

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【09】判断と意思決定の心理学

【1 原因帰属とは何か】

原因帰属(attribution)…現象の原因を何らかの要因に帰すること

社会的な出来事や自然現象などあらゆる対象に対して行われるが、中でも人間の行動に関する原因帰属は、責任の問題とも関連するため非常に重要である。
人間の行動に関する原因帰属の注目すべき点は、原因を内的要因に求めるか、外的要因に求めるかということ。

内的帰属…内的要因(その人の内面的な側面:意図、感情、性格、態度など)に求める場合
外的帰属…外的要因(その人を取り巻く家庭環境や社会環境)に求める場合
◎外的帰属がなされるほど、被告人の罪は軽いと判断される

共変モデル(H.H.ケリー)…原因帰属のあるべき姿を説明したモデル(規範モデル)
「ある現象が起こるときはそれが存在し、起こらないときには存在しない」という原理
共変に関わる情報には ①合意性 ②弁別性 ③一貫性 という3つの次元がある

①合意性…ある人のある現象に対する反応が他の人々と一致しているかどうか
②弁別性…あるいとのその反応は当該の対象に限って起こるのかどうか
③一貫性…ある人のある対象に対する反応はどんな状況でも変わらないかどうか

これら3次元に相当する情報を得て、それぞれが結果と共変するかを検討することによって、結果をもたらした原因を特定することができる。


基本的な帰属のエラー…普遍的で本質的な帰属の誤り
他者の行動の原因を考える際、その行為者の内的要因を重視しすぎる傾向
実際には外部環境が原因で生じた行動であっても、本人の性格や態度に原因が過度に帰属される。

過度に内的に帰属される理由
原因が外的要因にあると推測される場合、その行動は行為者自身の意図や性格によるものではないということになり、その人の内面に関する情報を得られなくなる。
他者の内面を知ることは、その人の将来の行動を予測することにつながり、類似した状況が起きたときに適切な対処がしやすいため、偏重される可能性がある。
原因を特定個人に求められないならば、状況次第でほかの人物によって同様の事件が引き起こされる可能性が残るので、原因を被告に帰属できれば刑を科すことで犯罪の再発を抑止できると考えられる。


行為者ー観察者バイアス
同じ事象に関する原因の帰属が行為者と観察者では異なること
基本的な帰属のエラーは、自分が他者の行動を観察する立場にあった場合においてであり、自分自身が行為者であった場合はこれとは反対方向のバイアス(外的要因に帰属を求める)が見られる。

セルフ・サービング・バイアス
成功と見なせるような行為については自分の行為を内的要因に帰属し、失敗は外的要因に帰属しやすい傾向


【2 責任の判断と原因帰属】

責任の水準
①連合
自分が直接引き起こした出来事でなくても、何らかの点で自分がその出来事に関連している場合に責任が問われる。

②因果性
自分が引き起こした出来事に対しては、たとえそれが偶然であっても全て責任が問われる。

③予見可能性
自分が引き起こした出来事のうち、予見が可能であった場合にのみ責任が問われる。

④意図性
自分が引き起こした出来事のうち、意図が伴っていたもののみ、責任が問われる。

⑤正当化可能性
意図して行った行為でも、行為を正当化できる理由があった場合には責任は問われない。
他人から強要されたりやむを得ずにやった行為など。

責任帰属の誤り
行動そのものは同じでも、その行動によって引き起こされた事件や事故の結果が重大であるほど、偶然の可能性を否定して、当事者の責任が厳しく問われる。
責任帰属の誤りの背景には動機が働いている可能性

防衛的帰属
責任を特定個人に帰属することによって自己に対する脅威から自己を防衛しようとすること。
重大な事件や事故が偶然に起きたと判断される場合、それと同様の不幸が自分にも起こる可能性を認めることになり、それが苦痛なことであるため、当事者に責任を帰すことによって苦痛を回避しようとする。

自分が将来被害者になる可能性があるかによって責任帰属は変わってくる。
作業者か監督者かという立場によっても責任帰属の内容が変わり、その帰属は自己を防衛する方向のものになる。(A.L.チェイキンとJ.M.ダーリーの実験)

被害者非難
事件・事故に巻き込まれた被害者に対しても不当な責任が帰せられることがある。
「公正世界仮説」と呼ばれる信念
→「この世の中は個々人がその人にふさわしい結果を受け取るような公正世界であり、良い人には良いことが、悪い人には悪いことが起こるはずだ」という因果方法的な世界観
しかし現実の世の中は必ずしもこうした信念のとおりではない。

人は一般的に自分を実際以上に良い人間だと思っているため、世の中が本当に公正世界であるならば、自分に不幸な出来事が起こることはあり得ないと考える。
公正世界に対する信念を守るため、時としてまったく非難すべき点のない被害者の欠点や過失を探し出し、被害者が不幸に見舞われたのは自業自得だと見なすことによって、信念を維持しようとする。

重大な事件や事故の責任に対する別の説明
重大な事件や事故は滅多に起こらないため、それが起きたのは特殊な原因や人為的なミスがあったはずだと考えられるのはごく当然という説明。

後知恵バイアス
事件や事故がいったん起きると、実際には事前に予期することが難しいものであっても、このようなことが起きることは十分に予期できたはずだと考える傾向。


【3 他者や集団の影響】

集団の討議においては個人の判断をこえた影響が作用する。

同調
情報的影響
正しい行動をする手がかりとして、他者の行動を参照することによって生じるもの。
多くの人がとっている行動は正しいに違いないという信念に基づく。

規範的影響
他者の行動を規範と見なし、他者から受け入れられることや、拒絶されることを避けるために生じるもの。

少数派の影響
少数派が一貫して異論を唱え続けることにより、多数派の意見を覆す場合がある。
(十二人の怒れる男)

社会的勢力
集団内に地位や役割がある場合、多数派・少数派だけでなく、立場に基づく影響力も働く。

専門勢力…裁判官のほうが裁判員より専門家知識があるから尊重されるべきという考え
正当勢力…裁判官のほうが裁判員より立場が上だから正当な権利を持つという考え
報酬勢力・強制勢力…賞罰を与えることができる人が行使する勢力
参照勢力…相手がその人を尊敬したり、理想としていることから、その人と同じようになりたいと考え影響を受ける
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