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心理学勉強用

【08】臨床心理学

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【08】臨床心理学

臨床心理学とは
心の問題や葛藤をもつ人を援助するための理論や技法について研究をする学問
現在では特別な疾患をもたない健常者に対する相談業務も含まれる

臨床心理学の特徴は、中核に実践活動があり、実践なくしては学問が成り立たないということ
臨床心理学の実践活動=心理臨床(臨床心理学とは区別される)


【1 カウンセリング・心理療法】

臨床心理学の実践活動として最も重要なのはカウンセリングと呼ばれる教育的・治療的援助

心理療法
精神疾患に対して、心理学的な技法による治療を試みるもの
精神疾患…統合失調症、気分障害、不安障害、身体表現性障害、解離性障害、パーソナリティ生涯

カウンセリング
疾患とは言えない何らかの悩みや葛藤を抱えている人に対しても行われ、相談を通して対象自身の成長を促すことが目的

特定の心理学的問題が病的なものであるかどうかの区別は現実的には容易ではなく、治療が目的か、相手の成長を促すのが目的かについても一義的に決まらない。
→心理療法を含む広範な心理学的援助を総称してカウンセリングと呼ぶ


カウンセリングの技法
対象となる心の問題をどのようにとらえるかによって、おおむね4つに分けられる

精神力動的アプローチ
過去から現在に至る過程を重視するもの(フロイトが創始)
心の構造をエス(イド)、自我、超自我の3つの層から成り立つと考える。

〈エス〉
原初的、本能的な欲動の源泉であり、ひたすら快を追求する快楽原則に従って機能。無意識の深いところに存在するため、エスの欲動を直接的には知り得ないが、欲動の中心は性に対するものだとされる。

〈超自我〉
主に両親のしつけなどによって内在化した文化的な価値基準であり、良心や道徳心の源泉。

〈自我〉
エスと超自我からの要請に対して調整をはかる存在。両者の調整をはかりながら、現実社会に適した行動を決定する。

この3つの心の層の関係性を力動的にとらえることで、性格(パーソナリティ)や精神疾患を理解しようとする。
3者の関係性はその人の生育歴のなかで形成されたものと考えられるため、このアプローチのカウンセリングでは幼少期の生活に焦点が当てられる。

来談者中心療法
現在の主観的・現象学的世界を重視(C.R.ロジャース)
クライエントの過去よりも、いま、ここでの心のあり方に焦点を当てる。
問題の本質が分かるのはクライエント自身であるから、カウンセリングの主導権はクライエントにあるべきと考える。
カウンセラーがクライエントに対して対等な立場で向かい合い、クライエントの話に無条件の関心を傾けて、共感的な理解をすれば、特別な助言を与えなくてもクライエントは自ら問題を解決し、自己実現をする力をもっている。(人間中心主義)

行動療法・認知行動療法
環境が人の行動に及ぼす影響や、人が自分を取り巻く環境をどのように認識するかに注目。

行動療法
古典的条件づけを基盤とする系統的脱感作は恐怖症の治療などに用いられる。
クライエント自身に不安や恐怖を感じるものを列挙してもらい、それを不安の弱いものから強いものへと階層化する。その一方で漸進的弛緩法や自律訓練法によって、全身をリラックスさせる方法を覚えてもらい、十分にリラックスしいた状態で、階層的に低い不安対象から順に触れさせていくことで不安を低減させる。

認知行動療法
周囲環境に対する偏った見方や問題のある思考様式の変容をはかることを意図して行われる。
行動療法を基礎にして発展した療法であるため、基本的な考え方は行動療法とほぼ共通しているが、認知行動療法では、予期や判断、信念や価値観といった内的な心の動き(認知)を治療対象とする。
うつ病は、自己や周囲、将来に対して否定的な見方をする特有な思考形式があり、それを変容させる方法に適しているため、認知行動療法が有効に機能する。

家族療法
配偶者や家族など複数の人を対象として問題解決を図るアプローチ。
家族はひとつのシステムであり、全体としてバランスを取るように相互に影響し合っている。
個人はそのシステムの一部であり、個人が問題を抱えているということは、家族全体のバランスが損なわれていることを意味すると考えられるため、家族全体のバランスを回復することに焦点を当てる。


【2 心理アセスメント】

心理アセスメントとは、クライエントの状態を査定すること

心理アセスメントの技法

面接
1対1の対面状況で行われ、クライエントによって語られる内容だけでなく、ノンバーバルなコミュニケーションからも情報を収集する。
面接は、情報収集だけでなく、治療にもなり得る。来談者中心療法において重要なのはクライエントとの面接であり、情報収集と治療を区別するのは難しい。

観察
自然なありのままの姿を見る自然観察と、意図的に何らかの状況を設定した中での行動を観察する実験観察がある。

心理テスト
性格検査
対象者の性格的な特徴を把握(質問紙検査、投影法、作業検査法など)

知能検査
知能を測定することを目的
精神年齢、知能指数など、その人が歴年齢に相当する知能を発達させているかを査定
ビネー式、ウェクスラー式(WPPSI・WISC・WAIS)がよく用いられる
対象者が年少者の場合、発達検査を行う場合もある。
情報が十分に集まらないときは、家族や友人、担任教員などと面接を行って情報収集する。


【3 心理臨床の領域】

教育領域
スクールカウンセラーの学校現場での相談業務のほか、教育相談室や教育センターなどの教育相談員としても活躍

医療・保健領域
精神科・心療内科・小児科などでのアセスメントやカウンセリングのほか、デイケアにおける生活技能の習得支援や、保健所の育児相談など

福祉領域
児童相談所・女性相談センターなど各種相談機関での相談業務、児童養護施設や高齢者のための施設の活動支援

司法・矯正領域
警察、家庭裁判所、少年鑑別所、少年院、刑務所など、犯罪や非行が関連するあらゆる機関で活躍。触法行為や逸脱行為の背後にある心理的要因を追究したり、矯正・再教育のための治療的・教育的介入。

労働・産業領域
職場のメンタルヘルス対策として、職場の相談室や企業が外部委託した相談機関で産業カウンセラー等が個別のカウンセリング。職員のメンタルヘルス向上に関わる活動の支援。

その他
心理相談室を個人開業し、一般の人を対象として相談業務を行う


【4 司法・矯正領域における心理臨床】

司法領域の関連機関と職種
◎警察
・警察庁科学警察研究所研究員
・都道府県警察 少年補導職員(少年相談専門職員)、科学捜査研究所研究員

◎家庭裁判所
・家庭裁判所調査官

◎法務省
・矯正施設:少年院、少年鑑別所、刑務所等刑事施設ほか 法務教官、法務技官(心理)
・保護観察所 保護観察官、社会復帰調整官

一般の心理臨床との相違
アセスメントやカウンセリングの対象者が非自発的である
心理臨床家は公的な権力機関に属する者であるため、対象者は心理臨床家に対する不信感や敵対意識を拭い去ることが難しく、信頼関係が築きにくい。

心理臨床家自身が対象者と社会安全の板挟みになる恐れがある
対象者が犯罪や非行を繰り返さず、健全な社会復帰をすることが目的だが、法を犯した者に対して適正な刑罰や処分を下すという目的を無視できない。

心理臨床の場に時間的な制約がある
司法手続きの段階に応じて、1人の対象者がいくつもの機関に関わり、それぞれの機関において新たな心理臨床家と出会うことになるため、援助を完結することが難しく、予後を見定める経験を持ちにくい。

犯罪・非行心理臨床における近年の動向
心神喪失者医療観察法制度が導入
心神喪失または心身耗弱の状態で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗など)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度。
裁判所が入院・通院などの処遇を決定し、指定の医療機関において専門的な医療を行い、退院後や通院時には地域社会において継続的な医療を確保するための仕組みが設けられた。

性犯罪者や薬物依存者等に対して、特別改善指導や専門的処遇プログラムの受講が義務づけ
処遇プログラムには、集団による認知行動療法をはじめとし、多様な技法が用いられている。それに伴い、民間の心理臨床家が参入。

犯罪被害者への心理的支援の開始
司法領域の心理臨床は加害者に対するものがほとんどだったが、90年代後半になりようやく犯罪被害者の救済や支援という考えが広まった。
被害者の心の相談に応じる窓口が全国の警察に設置され、民間の援助団体もできている。
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